第25回ザッカデザイン画コンペティション

25周年特別企画
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ザッカデザイン画コンペ25周年記念特別企画

このページでは、25周年を記念して設けられた豪華な新規特典の様子やゲスト審査員へのインタビュー企画など、今年のコンペの魅力についてご案内します!

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ゲスト審査員へのスペシャルインタビュー
黒岩真一さん プロフィール

(株)松屋 銀座本店バイヤー
2008年(株)松屋入社。ネクタイ売場に配属後、
紳士服の仕入業務のアシスタントを経て現在は紳士靴、紳士鞄などの仕入れを担当。

黒岩真一
■インタビュー

─ 黒岩さんには、今回から初めてゲスト審査員としてご参加いただきますが、審査員としての意気込みをお願いします。

黒岩:審査員は初めての経験であり、デザインのことに関しても特別な知識があるわけではないので、不安もありますが、まずは、私自身が楽しんで審査に臨みたいです。
今年の3月にバイヤーになったばかりですが、これから業界を目指す方にとって少しでも参考になればと思い引き受けました。

─ 審査でデザイン画を選ぶ際に、どのような点に注目しますか?

黒岩:デザインの背景(どのようなコンセプトで、どんな人が使うところをイメージしているのか)が画から感じられる作品を選びたいです。

黒岩さん─ 今回も松屋銀座賞がありますが、どのような作品を選びたいですか?

黒岩:最終的に販売をすることを念頭に置き、実際にお客様がお金を払って購入するにふさわしいかどうかを重視して選びたいです。
私がお客様の立場で使いたいと思うデザイン、お金を払ってでも欲しいと思うデザインを商品化したいと思っています。バイヤーの仕事はお客様があってこそですので、カスタマー視点を重視します。

─ 以下は黒岩さんご自身のキャリアに関しての質問です。
百貨店で働くことに興味をもったきっかけを教えてください。

黒岩:もともと人と話したり、話を聞くことが好きだったので、人と直接関わることのできる接客業に興味がありました。ファッションへの強い興味からというよりは、様々な業態(服飾、食品、リビングなど)で人と直接関わり合う機会の多いことが百貨店で働くきっかけになりました。
現在は紳士雑貨の担当ですが、自分が実際に身につけることができますので、非常に楽しくやりがいを感じています。

─ 百貨店に入社する際、バイヤー職は希望されていましたか?

黒岩:希望していました。百貨店と言えばバイヤー職は花形だと思っており、自分の裁量で買い付けをしたものが店頭に並びお客様の喜びや売上につながるというのはバイヤーの仕事でしか味わえないと思っています。

─ 現在のお仕事の内容を具体的に教えてください。

黒岩:現在は紳士雑貨(靴、カバン、革小物など)の担当をしております。既存の取引先を中心に、作り手やメーカーの方々と会話しながら商品知識を身につけつつ、取引先の手持ち商品を中心にバイイングを行っています。私が一から新しく開拓し買い付けをした商品やオリジナルで作りこんだものは来春頃から少しずつ展開される予定です。

─ 現在買い付けの際に注意して見ているポイントがあれば教えてください。

黒岩:売上の大半を占めるベーシックな商品が中心ですが、松屋銀座の店頭にふさわしいか、銀座のお客様に受け入れられやすいかどうかを基準に選ぶようにしています。
銀座のお客様はベーシックな中でも他とは少し違うものを求めている方が多いです。所得に余裕がある分商品を選ぶ際も冒険される方がおり、デザインが少し特異なものであっても、商品の背景や製作の際の作り手のこだわりなどを伝えると購入につながることが多いです。
昨年の松屋銀座賞の総革のリュックサックやサイドレースのシューズなどは他にはないデザインでしたが、銀座のお客様の趣向に合い非常に好評でした。

─ 実際に働きはじめてみて想像していた仕事とのギャップを感じることはありますか?

黒岩:現実と理想のギャップを強く感じています。
私が良いと思う、これを店頭に置きたいと思うものを仕入れれば売上につながるわけではありません。百貨店には様々なライフスタイルの方が来店するので、私個人と趣向の違う方もたくさんいます。トレンド色の強い商品よりもベーシックな普通の商品を好む方が多く、こうした商品が売上の大半を占めています。私の主観で選んだ商品だけでは売上をとることはできません。この部分に強いギャップを感じます。また、ベーシックな商品のみを揃えていても陳腐な売り場になってしまうので、売上をとることができかつ他との差別化を図る売り場づくりの難しさを感じます。

─ 差別化を図る上での松屋銀座としてのコンセプトや黒岩さんご自身の目指す売り場の形はありますか?

黒岩:松屋銀座として明確なコンセプトは特にありませんが、トラッドなものやベーシックなものを基調に売り場を構成し、お客様にとって敷居があまり高くなく買いやすい売り場を目指しています。
個人的には、雑貨だけではなく洋服も含めてトータルコーディネイトとして提案できるような売り場を目指していきたいです。

黒岩さん─ 黒岩さんから見て日本のもの作りの魅力はどのようなところにありますか?

黒岩:日本製のものは作りの丁寧さが秀逸だと思います。
インポートのものは歴史に裏付けされた雰囲気がありますが、細部まで行き届いた丁寧なつくりにおいては日本製に及びません。現在使用している日本製の財布をインポートのものと比べると縫製(縫い目の細かさやコーナーの縫い方等)やコバの仕上げ方などが非常に丁寧で美しいです。日本のものづくりは、革製品だけではなく、スーツやジャケットにいたるまで、世界水準だと思います。百貨店としても自信を持ってお客様に勧められるものを揃えたいので、バイヤーとして日本製のもの、日本のものづくりを積極的に取り上げて提案していきたいです。

─ 百貨店に入社してから今までのキャリアの中で一番苦しかったこと・挫折した経験を教えてください。

黒岩:現在バイヤーとしての駆け出しの時期なので日々奮闘しています。最も難しいのは、売上を意識しながら売り場づくりをし、その一方で先を見据えて新しい提案もしなければならないところです。先ほども申し上げましたが自分が良いと思う商品と実際に売れる商品にギャップがあることや、売上を取ることと他との差別化を図り提案することを両立させる商品展開のバランスの難しさを日々感じています。 特に売上は日々変動していきますので、売れているブランド、形、色、機能など細かく幅広い視点から分析していかなければなりません。
現状で心がけていることは、勉強のために作り手と話をすることが多いので、そこでインプットした商品知識を実際に店頭で接客販売する際に、自分の言葉でお客様に伝えることを心掛けています。そうすることで商品知識がしっかり身に付きます。

─ 日々の仕事の中でどのようにしてモチベーションを保っていますか?

黒岩:理想とギャップがあり、大変だと感じることもありますが、「この仕事がしたい」と思った希望の仕事に就けているので、そのことがモチベーションになっています。

松屋─ バイヤーに求められる一番重要なものは何だと思いますか?

黒岩:バイヤーとして働く上で最も重要なことは「人に対してものごとを伝える力」だと思っています。お客様と作り手の間にいるのがバイヤーなので、お客様に商品の背景を伝えて魅力を知ってもらう、逆にお客様の意見を作り手に伝えて商品開発につなげてもらう、こうした双方との橋渡しをすることで売上ももちろんですが、新たな提案を浸透させていくことが次につながると考えています。
松屋は小規模な百貨店ですが、その分バイヤーが店頭に出てお客様に直接商品の魅力を伝えることができるので、理想的な環境だと思っています。

─ 最後に応募して来られる方は10代~20代の若手の方が多いです。その頃にこれだけはやっておいた方が良いと思うことを教えてください。

黒岩:もしバイヤーの仕事を希望するのであれば、若いうちから実際に店舗に足を運んで様々な商品(洋服でも雑貨でも)に触れることをお勧めします。
現在はインターネットで色々な情報を検索できる便利な環境が整っていますので、買い物をする際もまずはネットで検索してから…という方が多いと思います。インターネットでも情報は得られますが実物の商品を前にするのとでは感じ方が異なるはずです。
買い物をする時も直接店舗に出向き、自分の目で見て確かめて、考えて買い物をしてみてください。インターネットで得た情報以上に様々なことが知識として得られます。
実際のものを見て自分の感覚で良し悪しを判断できるようにしておくと、将来バイヤーをはじめアパレル関連の仕事をする時に活かされると思います。