革小物ベルト帽子 ハンドバッグ靴

<アイテム別メーカー一覧はこちら>

紳士ベルトというのは、新規性を出すのが難しい製品だ。ズボンのベルトループに通すには、おのずと厚みや幅が限られる。かといって、過剰に装飾を施すと実用性が損なわれてしまう。限られた条件の中で、各社が懸命に創意工夫している。紳士ベルトメーカーの伸栄(本社・台東区)は、あえて経年変化しやすい材料を使い、愛着がわくカジュアルベルトを追求している。

は虫類皮革のベルトを原点とし、紳士ベルトの王道を歩く

ライセンス生産で培った企画力が伸栄の強み。新製品のデザインは、若手社員が中心となり、社内で行っている(最上段)。2代目社長の森川雅雄氏。大学卒業後、父の跡を継ぎ、同社を総合ベルトメーカーへ成長させた(中段右)。

 1964年に創業した伸栄の歴史は、紳士ベルトの流行史と重なる。1970年代は、カイマン(ワニ革の一種)のベルト作りで、活況を呈した。当時は、トカゲやカモシカやカンガルーなどを使ったベルトが男性から珍重され、これらの製造を得意とするメーカーは、「は虫類メーカー」と呼ばれた。現社長の森川雅雄氏(60歳)が父の跡を継ぐべく、伸栄に入社したのもこの頃だ。
 80年代に入ると、DCブランドブームが到来。伸栄は、1980年にレノマとライセンス契約を交わしたのを皮切りに、以降、ライセンスブランドが売り上げのほぼ100%を占める時代が10年ほど続く。90年代に入ると、中国での生産を開始。いわゆるロードサイド系の専門店に向け、低価格帯のベルトも製造するようになった。
 現在は、契約ブランドの売り上げは5割に減少し、代わりにOEMの売り上げが増えた。ベルトの種類別に売り上げを見ると、ビジネス用が5割、ビジカジ(ビジネスシーンにも対応するカジュアルベルト)、カジュアルが2割といった案配だ。素材は牛革が中心だが、伸栄の原点であるは虫類皮革のベルト製造も継続している。
「いまは百貨店の売り場が縮小し、ブランド物のベルトは数種類あればよいという状況になりました。代わりに百貨店の中のインショップで、洋服と一緒にベルトが売られるようになりました。そうした流れに対応すべく、自社ブランドを立ち上げ、目下、カジュアルベルトの企画・製造を強化しているところです」(森川社長)
 ノット(KNOT)と名付けた自社ブランドは、社長の次男である森川和明氏(29歳)の尽力によるもので、セレクトショップに向けて積極的に提案を行っている。
心を込めて作ることがメイド・イン・ジャパンの強み

は虫類皮革のベルトは、専任の職人がおり、革の裁断から仕上げまで1人で行っている(中段左)。自社初となるオリジナルブランドを立ち上げた森川和明さん。兄と2人で、国産ベルトの可能性を追求している(中段右)。

 伸栄は、中国に3つの協力工場があり、売り上げの半分に相当するベルトを海外で製造している。だが、森川社長の国内生産に対する思いは強い。1995年から15年間、本社とは別に自社工場を構え、メイド・イン・ジャパンを残すべく、奮闘してきた過去がある。現在は、本社1階の工房で、月産500~1000本のベルトを製造。そのほか、外部の職人に依頼して、2500~5000本を国内で生産できる体制を整えている。
「価格面や生産数では海外に太刀打ちできません。メイド・イン・ジャパンで勝負できるとしたら、心を込めて作ることしかありません。大量生産品にはない物作りのよさを、うちのベルトの中に感じてもらえたらうれしいですね」
 森川社長によると、同じベルトでも、日本でミシンをかけるのと中国でミシンをかけるのとでは、ステッチのピッチが微妙に異なるという。一般の人にはわからないかもしれないが、そこをわかってもらえると思ってベルトを作る。こうした丁寧な仕事ぶりが評価され、大手アパレル企業から指名でOEMを依頼されたこともある。
「ベルトは、財布やバッグに比べると、デザインがしにくい製品です。でも、革のやわらかさや厚みなど、単純だけど微妙な違いがある。そこを徹底的に追求して、自分たちが作れる最高峰のベルトを追求しています」
 その具体例が、先に触れた自社ブランドだ。イギリス産のサドルレザーやイタリア産のベジタブルタンニングレザーといった風合いのある革を使い、ステッチの入れ方、コバの仕上げまで気を配り、使い込むほどに愛着のわくベルトを目指した。
「物作りには、作るよろこびと、買ってもらうよろこびがある。生産者と消費者の両方がよろこぶベルトが作れたときが幸せ」と森川社長。そんな純粋な気持ちこそが伸栄の原動力なのだろう。
株式会社伸栄 会社概要
■事業内容 紳士ベルト及び革小物
■代表者名 森川 雅雄
■OEM担当者 森川 和明
■資本金 1000万円
■従業員数 16人
■所在地 〒111-0032 台東区浅草5-54-4
■電話 03-3874-6421
■FAX 03-3874-6424
■取扱品目 ベルト
■自社ブランド ノット(KNOT)
■メールアドレス ka.morikawa@shinei-belt.com
■ホームページ http://shinei-belt.com/