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「買い控え」という言葉がメディアに登場するようになって久しいが、不況下でも消費者の支持を得て成長を続ける中小企業もある。婦人用カジュアルバッグメーカーの『ヤマト屋』がそのひとつだ。同社の自社ブランド製品である、「ラビラビ」は、テレビショッピングや通販カタログ、シニア向け雑誌で、たびたび紹介されているので、ご存じの方も少なくないはずだ。

和装小物の販売から婦人鞄作りに転向

徹底した品質管理体制を敷くヤマト屋では、16人のスタッフが納品されたバッグを検品する(最上段)。検査が完了し、問題なかった商品には担当者の印鑑が押される(最下段)。中段左に見えるのは、社長の正田誠さん。

 いまでこそ婦人鞄で知られる同社だが、昭和30年代までは和装小物を手がけていた。初代、正田竹次郎が浅草仲見世通りに和装小物店「大和屋」を創業したのが明治25年。長らく着物用の手提げ袋の販売を続けていたが、和服の衰退に伴い、洋物の婦人鞄の製造に転じた。その大胆な方向転換が功を奏し、平成20年度の年商は約7億。うち90%以上を自社ブランド製品の売り上げで占めるまでになった。
 社員数18人と小規模ながら、同社がここまで成長を遂げてきた理由は、どこにあるのか。同社の正田誠社長に尋ねた。「理由はふたつあります。ひとつは、お客さまや百貨店の派遣販売員からの声を即座に商品開発や改良に生かしてきたことです。もうひとつは、和装小物時代に百貨店との取引で培った品質管理の体制です」
 その象徴ともいえるのが、工場内に設置された「価値作り研究室」と「商品検査室」だ。前者には、専任者が電話で入る消費者からの苦情を記録し、商品企画の担当者へ伝えている。後者は、16人のスタッフが社内に常駐し、共通マニュアルにもとづいて、1点1点、人間の目で検査している。検査が終了した製品には、すべて検査員の名前印が押される。ちなみに同社では、検査前の品を「製品」、検査が終わったものを「商品」(商いの品)と呼んで区別し、社員の意識向上も図っている。 「和装小物時代は、日本橋の百貨店に来られるお客さまがよしとするものを作ってきました。いまは通信販売を利用される、目の肥えたお客さまを満足させるべく、日夜、品質のさらなる向上を目指しています。国産品であることの安心感、それがヤマト屋の最大の強みです」
消費者の不満の声がヒット商品を生み出す

経年劣化しにくい生地は、同社が独自に開発した(中段右)。バッグの製造は、 協力工場に委託しているが、試作品作りや修理は社内で行う。最下段は、社員全 員に配られる経営計画書。会社のノウハウを明文化している。

「クレームは宝の山」とはよくいわれるが、現在のヤマト屋の躍進の源となったのもまた、消費者からの声だった。ウレタン生地のバッグは安価であるが、劣化すると表面がボロボロにはげてくる――これは素材の特性であるとバッグ業界ではみなされてきたが、同社では、この声に真摯(しんし)に耳を傾け、改善を重ねた。その結果、生まれたのが耐久性と軽さを備えたオリジナルのウレタン生地だ。この素材を使った「ラビラビ」シリーズの鞄は、全国の女性の目にとまり、現在では売り上げの大半を同素材のバッグが占めるまでになった。
「ウレタンが劣化するのは、水分と素材とが化学反応を起こす加水分解によるものです。そこで、当社では基布素材の表面に強度の高いポリカボネートをコーティングすることで、ウレタン生地の耐久性を格段に向上させました」
 この生地は表面にプリント模様が印刷できるため、オリジナルバッグ作りに向く。ヤマト屋のOEM製品も、同素材を使ったバッグが大半という。中でもシニア向けの会員誌『いきいき』編集部と共同開発したバッグは、爆発的に売れた。ほかにも、テレビ通販大手のジュピターショップチャンネルや航空会社のオリジナルバッグを手がけるなど、引く手あまたの状況だ。
「先に申し上げておきたいのは、私どもは下請けメーカーではないということです。日本の技術、日本人の感性で、メーカー、得意先、お客さまの3者がハッピーになれる物作りを目指しています。価格勝負ではなく、消費者が心から満足、感動するものを作りたい。そんな価値観を共有できる企業と一緒に商品開発ができるとうれしいですね」
株式会社ヤマト屋 会社概要
■事業内容 婦人用カジュアルバッグの製造卸
■代表者名 正田 誠
■OEM担当者 正田 誠
■資本金 3750万円
■従業員数 18人
■所在地 〒111-0051 台東区蔵前3-14-5
■電話 03-5829-6161
■FAX 03-5825-2866
■取扱品目 カジュアルバッグ
■自社ブランド ラビラビ、ラビラビテディ、ラビラビヌーボ、ハイバッグ
■メールアドレス ask@yamatoya-tokyo.co.jp
■ホームページ http://www.yamatoya-tokyo.co.jp/