鞄・バッグ
BAG

ナース鞄工株式会社

1世紀を超えるランドセルの歴史を時代に合わせ、次世代へ伝える
日本人であれば、誰もが一度はお世話になったことがあるランドセル。「学習院型」と呼ばれる昔ながらの形は、いまも変わっていないが、使いやすさや収納性、細かな装飾は、かつてとは比較にならないほど進化している。東京・足立区で1948年に創業したナース鞄工(ほうこう)は、ハンドメイドのよさを生かしながら、斬新なコンセプトのランドセルを業界に先駆けて発表してきた。

数々の賞に輝く、ランドセル界の小さな巨人

身の回りのあらゆる日用品が海外製となってきているが、ランドセルはいまも99%以上が国産品で占められている希少なマーケットだ。とはいえ、昔ながらのランドセルをただ作り続けているだけでは、少子化の波に打ち勝てない。時代の変化を敏感に察知し、他社との差別化を図れたメーカーだけが生き残れるという厳しい業界でもある。
ナース鞄工は、1958年に業界初の文部大臣賞を受賞したのを皮切りに、経済産業大臣賞、グッドデザイン賞など、これまで60余りもの賞を受けている実績のある企業だ。
「日本には毎年100万人ほど入学児童がいて、流通在庫をのぞくと、1年間で60~70万個のランドセルが製造されています。そのうち10万個を私どもで生産しています」。そう話すのは、3代目社長の依田光展氏(53歳)だ。同社は、売り上げの8割をランドセルと学生鞄、2割をビジネスバッグが占める。そのうち8割がOEMによるものだ。
「景気が右肩上がりの時代は、ランドセルにしても鞄にしても、DCブランドに頼りがちでした。バブルがはじけてからは消費者の物を見る目が変わってきました。ブランドではなく、自分たちにとってふさわしいランドセル、鞄を選ぶようになってきました。作り手と買い手が通じ合う、そういう物が受け入れられる時代になったと考えています」
そうした流れのもと、同社では「手作りの味を生かしたランドセル」に重点を置いている。工場は本社内と長野県佐久市の2カ所にあり、両方を合わせた日産数は350個を超える。手仕事を重んじる一方で、最新鋭の自動裁断機を導入し、流通大手からの厳しいオーダーにも耐える、生産ラインと品質管理体制を整えている。

他社を圧倒する芸の細かさと斬新なデザイン

ナース鞄工の実力は、『キッズ・アミ』に代表される自社ブランド製品を見るとよくわかる。『キッズ・アミ』は、ナース鞄工が1994年から製造を続けている、自社のオリジナルランドセルで、現在5つのバリエーションが存在する。
「ひと昔前までのランドセルは、男女とも形は同じで、色も限られていました。ところが、近年は小学生のファッション化が進んで、男の子向け、女の向けにデザインを変えたランドセルが主流となりつつあります」と企画部の中野正浩さんは話す。
例えば、女児向けのランドセルでは、かぶせの金具にスワロフスキーを埋めたり、前ポケットをハンドバッグのような丸みを帯びた形にしたり、内張りをハート柄にしたり、さらには、同じピンク色でも濃淡の異なる2~3色を用意するという凝った作りにしている。こうした細かい作り込みを得意とする一方、業界初となる横型のランドセルを発表するなど、従来の枠組みにとらわれないランドセルの開発にも余念がない。
このような自社製品の研究開発で培ったノウハウは、OEM製品の企画にも生きている。その成功例がA4クリアファイルが入るランドセルで、大手量販店のヒット商品になった。今後は、小売店との直接取引をさらに増やし、消費者にできるだけ近い位置でランドセルを販売していく方針だ。その具体策として、2010年に通販事業部を設置し、楽天市場でインターネット販売も始めた。
「日本のランドセルは、伊藤博文が大正天皇に献上したことに始まり、100年を超える歴史があります。親子二代、三代がランドセルを通じてコミュニケーションしていく――。ランドセルをそういった文化的な商材として育てていきたいと思っています」

INFORMATION

  • ■ 事業内容

    鞄、ランドセル製造

  • ■ 代表名

    依田 光展

  • ■ OEM担当者

    宮沢 義治

  • ■ 資本金

    4800万円

  • ■ 従業員数

    50人

  • ■ 所在地

    〒121-0816 東京都足立区梅島3-12-20

  • ■ 電話

    03-3887-8377

  • ■ FAX

    03-3880-6792

  • ■ 取扱品目

    ビジネス鞄、ランドセル、スクールバック、他

  • ■ 自社ブランド

    キッズアミ、ギャラリーボックス、トリーガー

  • ■ E-mail

    info@naas.co.jp