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ニット帽子の世界に高いデザイン性を持ち込んだ『吉川帽子』。その躍進の源は、オートクチュールのウエディングドレスデザイナーのもとで研さんを積んだ社長のセンスにある。「パリでも通用する帽子作り」の心意気から生まれた同社の製品は、ニット帽子の世界に新風を巻き起こしつつある。

表現力に富んだニット素材で独自性を出す

同社のショールームには、見るだけでも楽しくなるサンプル帽子がぎっしりと並んでいる(最上段)。プリーツがお洒落なターバン帽子と寺本恭子社長(中段)。「品質のいい、お洒落なニット帽子」を目指す同社では、新色や新種の糸も積極的に採用する(最下段)。

 ニット帽子というと、ファッション性に乏しい毛糸の帽子というイメージを思い浮かべる方も多いだろう。だが、同社のショールームを訪ねると、そんなイメージはたやすく崩れ去る。プリーツ編み地のターバン帽、ドレープが美しいキャスケット、凝った編み目のハンチングなど、いずれもおしゃれで軽やかなものばかり。寺本恭子社長はこう話す。
「ニットはすごく表現力がある素材なんです。でも、意外にその幅広さが知られていない。ニット帽子をデザインしたことがないアパレル企業さんからは、よく『作りたいけど何から手をつけていいか分からない』といわれます。そんな時こそ、うちの出番です。提案力ときめの細かい対応は一番得意とするところですから、ニット帽子は出したことがない、ひと味違うニット帽子を出したいという企業さんにこそぜひお声がけいただきたいです」
 実は寺本社長の前職は、オートクチュールのウエディングドレスデザイナーのアシスタントである。平成9年に父である先代が急逝したため、前職を辞し、同社の経営に参画することになった。その時から常に、心の中には「パリでも通用する帽子作り」という気概がある。「自分たちの提案力を鍛えるために立ち上げた」という自社ブランド〈ami-tsumuri(あみつむり)〉の製品は、出展選考が厳しいことで知られる、パリの有名ファッション展示会『プルミエールクラス』の常連。国内では東京・新宿の有名百貨店やセレクトショップの店頭に並んでいる。
付加価値を最大限に付加する会社でありたい

検品、袋詰めは同社内で丁寧に行われる(最上段)。かつてオートクチュールのウェディングドレスのアシスタントデザイナーを務めていた寺本社長は、帽子に着ける飾り物を積極的に提案する(中段)。複雑なデザインのニット帽子も同社の得意とするところ(最下段)。

 現在、同社の製品の9割以上は相手先ブランド品が占める。製造はすべて、古くから付き合いのある東京都下や埼玉の工場で手がける。遠方ではなく近距離の作り手と組む理由は、必要な時は顔を合わせてとことん話をして、納得し合うため。同社の昔からのスタイルである。
 ニット帽子を編み上げる工業用のニット編み機は、ゲージ(編み目の大きさ)ごとに編み機が分かれる。ゆえに「どのゲージの編み機を持っているか」によって、ニット工場の得意分野は決まる。縫製や仕上げの工程もしかり。すくい縫いをするならここ、伏せ止めが必要ならここ、スチーム仕上げならここといったように、工場によって専門分野が分かれる。その得手不得手を熟知している寺本社長は、注文内容に応じて最適な工場を選び出し、チーム体制で生産に当たる。
「昔、製造業の生産がみんな中国に流れた時、うちはどうするべきかと本当に悩みました。自分なりに中国を研究した末に出した結論が、うちはもともと大きな会社じゃないんだから、国産でしかできないものを作ろうということ。値段は下げられないけれど、付加価値の部分は最大限に付けよう、素材から技術、形の提案をどんどんしよう、ロットの数や色、こんな付属品を付けたいといったリクエストにすぐに対応しよう、納期の無理にも極力応えていこうと決めました」
 その思いは実り、着実に取引ブランドは増えつつある。あるショップのオリジナル品として製造を請け負ったニット帽子は、数万個をこえるヒット商品となった。
「目指すのは、一を聞いて十を知る、帽子メーカーです。『こんな感じのものが作りたい』とおっしゃっていただければ、どんどんデザインを提案します」――寺本社長の情熱はいま、ニット帽子の世界を確実に変えつつある。  
吉川帽子株式会社 会社概要
■事業内容 ニット帽子の製造
■代表者名 寺本 恭子
■OEM担当者 高橋 理恵
■資本金 2000万円
■従業員数 4人
■所在地 〒111-0055 台東区三筋1-6-5
■電話 03-3851-1236
■FAX 03-3851-1238
■取扱品目 紳士・婦人・子供用ニット帽子
■自社ブランド ami-tsumuli(アミ・ツムリ)
■メールアドレス r_yoshibou@yahoo.co.jp
■ホームページ http://www.ami-tsumuli.com/