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タイヤメーカーとして知られるブリヂストンの社名が創業者の姓(石橋)にちなむことは有名だ。昭和41年に創業した紳士靴メーカー、『サンダー商事』の社名も同様に、轟(とどろき)という創業者名に由来する。「雷(サンダー)がとどろくように、全国にわが社の名を知らしめたい」――創業者の熱き思いは、いま現実のものとなりつつある。

靴業界に雷鳴(サンダー)をとどろかせる

最上段は、サンダー商事の主要商品である紳士靴の国内製造ライン。このラックが工場内をゆっくりと回転しながら、成型→圧着→乾燥→研磨 と、各工程が熟練職人の手作業により進められる。中段右は、創業者で会長を務め る轟(とどろき)豊蔵さん。

 浅草は、神戸と並ぶ、国内有数の靴の生産地である。サンダー商事は、この浅草で紳士靴ひと筋に製造を行ってきた。この地の製靴メーカーは、大手の下請けを担っているところが大半であるが、サンダー商事は、売り上げの約半分を自社ブランド製品で占める。
「100%自社ブランド製品にもっていければ理想ですが、会社の空洞化を避け、会社を発展させるためには、相手先ブランドの仕事も欠かせません。お得意先の新しい感覚を採り入れて、切磋琢磨(せっさたくま)することがひいては企業の競争力を高めることにつながるからです」
 日本の靴業界、特にビジネスシューズは、「高級品と低級品のサンドイッチ状態にある」と轟会長はいう。製造コストの安さでは、アジア諸国に追い抜かれ、反面、ブランド力では、ヨーロッパのメーカーに圧倒されている。そんな厳しい状況の中、同社では、国内市場において業績を伸ばしている。その伸びを支えているのが、生産の柔軟性だ。小ロット、高価格の靴は浅草の自社工場で、大量生産品は中国の浙江(せっこう)省にある協力工場に製造を委託している。
「中国には18年前に進出して、技術指導と品質管理体制を長年にわたって築いてきました。最近では上海の国際見本市にも自社製品を展示してPRに務めています。国内生産においても、オール・メイド・イン・ジャパン、ハーフ・メイド・イン・ジャパンなど、予算や納期、生産数に合わせた対応が可能です。そんなフットワークの軽さが我々の一番の強みです」
カジュアルシューズでは才能ある若手を起用

つや出しのスプレーが噴霧されたばかりの状態(最上段)。これを手作業で丹念に磨くと、ピカピカのつやが生まれる(最下段)。中段左に見えるのは、カジュアルシューズの企画を一手に引き受ける猪俣真さん。「少量生産でもいいから国産の靴を増やしたい」という。

 先述のように、サンダー商事の主力アイテムは、紳士用のビジネスシューズだが、近年は、メンズカジュアルシューズの企画・製造にも力を入れている。その立役者が企画営業担当の猪俣真さんだ。20代という若さながら、デザイン、サンプル製作から生産管理までをこなすスペシャリストである。
「カジュアルシューズの売り上げは、全体の2割ほどですが、実績はあります。特にウエスタンブーツやワークブーツの製造は、20年以上前から行っていて、秋冬物のシーズンになると、必ず得意先からの注文が入ります。最近は、結婚式用の真っ白なブライダルシューズなど、フォーマルシューズの製作も一部手がけるようなりました」
 そんな彼がファッション展示会のために作った新作ワークシューズが最上段の写真だ。ヴィンテージ感を出すため、アッパー部の革をだぶつかせたり、ステッチを強調したデザインは、同社のイメージを覆す出来栄えだ。サンダー商事の新しい息吹を十分に感じさせる。
「靴業界に限らず、いま日本の製造業は苦しい立場にあります。それは私も肌身で感じていますが、だからといってそれを放置しておいたら、日本で靴を作る人がいなくなります。少し価格が高くても、少量でもいい靴を作りたい。そのためには、どれだけ手作りの雰囲気を出せるかが勝負だと私は考えています。カジュアルシューズの分野の開拓はこれからですが、私たちと物作りをしたいと声をかけてくださるところがあれば、願ってもないことです」
 高度経済成長を担った男たちを足元から支えてきたサンダー商事。その新たな雷鳴(サンダー)を次世代にとどろかせる日も、そう遠くはなさそうだ。  
サンダー商事株式会社 会社概要
■事業内容 紳士靴の製造卸
■代表者名 轟 秀貴
■OEM担当者 猪俣 真
■資本金 2000万円
■従業員数 30人
■所在地 〒111-0022 東京都台東区清川1-21-4
■電話 03-3874-4171
■FAX 03-3874-4174
■取扱品目 ビジネスシューズ・紳士カジュアルシューズ
■自社ブランド TEXAS VILLAGE、aragin
Christian Carano
■メールアドレス thunder@ninus.ocn.ne.jp