第3回目は株式会社ビームスの執行役員で、シニアクリエイティブディレクターとして活躍中の南馬越一義さんです。日本を代表するセレクトショップBEAMSの看板バイヤーとして活躍され、30年に渡るファッション業界でのキャリアをお持ちの南馬越さんにコンペ審査に向けての意気込みを伺いました。 また、コンペ応募者・ファッション業界を志す方たちに向けてご自身のキャリアに基づく貴重なアドバイスをいただきました。
株式会社ビームス シニアクリエイティブディレクター
1985年ビームス入社、2004年レディース統括部長、
2010年3月より現職として活動。
─ 南馬越さんには今年で審査員を務めていただいて5年目になりますが、全体的に作品に対してどのようなことを期待しますか?
南馬越:オリジナリティ(独創性)とイノベイティブ(革新性)を期待します。
─ ザッカデザイン画コンペも今年で25周年を迎えます。25周年記念の特典として南馬越さんが個人で選考する審査員賞が設けられていますが、選考のポイントを教えてください。
南馬越:僕の場合は、やはり独創性と新規性ですね。今まで無かったけど、そういう手があったか!というようなデザインを見てみたいです。 画としてのクオリティが高く、製作するのは難しそうだけどこういうものがあったら面白いなと思う作品を選びたいです。
─ バイヤーとして様々なアイテムを買い付けする際に注目しているポイント(どのようなものに惹かれるか)を教えてください。
南馬越:これは自分の感覚によることが多いです。自分が、可愛いとか格好良いと感じるものを買いつけています。また、現在もしくは未来の店頭をイメージして、そのイメージに合うものを選ぶようにしていました。 今は、3Dプリンターのようなテクノロジーとクラフトが融合したアイテムに注目しています。例えば先日見つけた木製のiphoneケースは、クラフトのぬくもりを残しつつ、プログラムで管理されているため新しい型になってもスピーディーに作製し、店頭に展開できるという面白いものでした。
─ また、買い付けの際の注目ポイントとデザイン画コンペ作品選考の際の注目ポイントは同じでしょうか?
南馬越:基本は同じです。
─ デザイン画を作製する際にこれだけは気をつけて欲しいというポイントがあれば教えてください。
南馬越:(画を通して)相手にプレゼンテーションするんだということを意識して、着用した時を想像できるようなものが良いですね。ただデザインして終わりではなく、デザインしたものをどういう人が買い、着用するのか想定した上で作製してほしいです。
─ ここからは南馬越さんのキャリアについて質問です。
ファッション業界で長くキャリアを積まれてきたかと思いますが、働き初めてから今までの間で最も辛かった、挫折した経験を一つだけ教えてください。
南馬越:いっぱいあって伝えきれない (笑) 。やはり仕入れた物が売れないのが一番辛いですね。人生は7割がた辛いという意識で30年間仕事してきました。
─ このような時、どのようにしてモチベーションを保ち乗り越えましたか?
南馬越:自分を信じることです。最後はそれにつきます。
─ 最後に今現在のご自身からファッション業界で働き始めた駆け出しの頃の自分に一つだけアドバイスするとしたら、どのようなことを伝えますか?
南馬越:政治力を身につけましょう。