第26回ザッカデザイン画コンペティション

  • トップ
  • 応募要項・応募用紙
  • 審査員
  • 特別企画
  • 一次審査通過作品
  • 受賞作品紹介
  • お問い合わせ

特別企画

今回のコンペから、豪華ゲスト審査員として、support surfaceデザイナーの研壁宣男氏にご参加いただきました。
研壁さんは、学校卒業後に夢と情熱だけを持って単身イタリアへ渡り、困難を乗り越えながら、憧れのロメオ・ジリのもとでキャリアをスタートさせ、長くイタリアで活躍されました。99年より自身のブランド support surfaceの活動を開始し、06年より東京コレクションで発表しています。
ピンワークと立体裁断により生み出される、構築的で唯一無二の世界観を持つ衣服を展開する同ブランドは、幅広いファンから熱く支持され、日本を代表するデザイナーとして不動の評価を得ています。

今回は、研壁さんから、応募を考えている皆様へのメッセージをお届けします。
また、ご自身のキャリアを振り返った、貴重なロングインタビューも掲載しました。

≫スペシャルコンテンツページTOPに戻る

ゲスト審査員へのスペシャルインタビュー
研壁宣男さん プロフィール

support surface デザイナー
桑沢デザイン研究所在学中に繊研大賞等受賞。89年、渡伊。ROMEO GIGLIアシスタントデザイナーを経て、10 CORSO COMOにてオリジナルブランドNN STUDIOのチーフデザイナー。97年よりALBERTO BIANIをメインにTRUSSARDI COLLECTION、INCOTEX等のブランドのデザインを担当。99年よりsupport surface活動開始。03年 帰国、桑沢賞受賞。06年より東京コレクション参加。07年 株式会社support surface設立。

研壁宣男

─ 研壁さんを、5年ぶりにコンペのゲスト審査員としてお迎えすることが叶いました。当時、真摯に熱くご意見をいただき、前途有望な人材の輩出にお力をお借りできたことを、主催者として感謝しております。(第19回~第21回まで、ゲスト審査員としてご尽力いただきました)
当時と比べ、「産地」「ファッション業界でのキャリア」といったキーワードをもとに、コンペも特典を増やし、進化しています。今回は、応募作品に対してどのようなことを期待しますか?

研壁:審査を楽しみたいと思っています。こういう考え方もあったのかと、ビックリさせるような、若々しいアイデアを期待します。

─ 今回は、研壁さんが個人で選考する審査員賞(各ゲスト審査員が、各人ひとつ選ぶ)が設けられています。選考のポイントを教えてください。

研壁:一番インパクトがあるものを選びたいと思います。それは、驚くような発想のものかもしれませんし、バランス感覚が優れているものかもしれません。あくまでも当日になってみなければわかりませんね。

─ 応募者がデザイン画を作製する際にここを特に気をつけてほしいという点があれば教えてください。

研壁:デザイン画を描く際、みなさん、多分、主観的に描かれることが多いかもしれません。そこでもう一歩、例えば審査員になったつもりで、あるいは使用する立場になって客観的に見ることも重要です。「この画(アイディア)が素敵だな」と自分自身で思えるように、本当に納得のいくものなのかを考えてみてほしいと思います。自分がまず納得できないものは他人も納得させられません。

─ コンペの上位受賞作(最優秀賞以上)は、受賞者とメーカーでコラボして製品化を経験してもらいます。
研壁さんご自身が、デザインを他人に伝える際に気をつけていることを教えてください。
例えば、台東区にあるようなファッション雑貨メーカーや、各種の工場と仕事をされる場合、どのようなことを重要視していますか。また、どのようにしてイメージを共有し、仕事を進めていらっしゃいますか。

研壁:仕事を工場に依頼するときに、デザイン画だけを持っていくということはないです。共鳴してもらえないと協力もしてもらえませんし、共鳴してもらい、作り手の心を込めて頂かないと良い製品にはなりません。
まず新デザインを前に「なぜこのデザインなのか」を説明します。例えば、「先シーズンのデザインに対して、今回はこうすればもっと魅力的なのではないか」など、デザインの理由をしっかりと説明し説得させます。
また、企画側の主張を下手に通すよりも、工場の方の方が職人として技術的な経験が多く学ぶ点は多い場合がほとんどですので、専門的な経験の話を伺いながら、話し合いの中で、最良の接点をみつけていくという進め方です。

─ ここからは研壁さんのキャリアや仕事内容についての質問です。
日本を代表するデザイナーとして長く第一線でご活躍されていらっしゃいます。
研壁さんが実感する、ファッションデザイナーの醍醐味はなんでしょうか。また、長きに渡り、研壁さんが最前線を走り続けることができている秘訣はなんでしょうか。

研壁:醍醐味というか、やはり、自分の中には、常に新鮮なものに接したい、作り出したい、という気持ちがあります。新しくものを作り続けるということはパワーが必要ではありますが、永くやっていると、それが自分として、当たり前のサイクルになっています。それは呼吸のようです。

近年、メンタルコンディションの調整にとても気をつけるようになりました。アスリートがここ一番というときに集中するように。心技体のバランスが取れていないと良い結果は出せません。そのために、生活のリズムを太陽の周期に合わせるよう心がけています。

─ 長くキャリアを積まれてきましたが、働き始めてから今までの間で最も辛かった経験をひとつだけ教えてください。また、どのようにしてそれを乗り越えましたか?

研壁:特定の出来事ではないですが、デザイナーの仕事に不安感は日々つきまとってきます。アイデアがなかなか浮かばない時など。もう一生アイデアが浮かばないのでは、という恐怖にとらわれます。

とりあえず、思考にとらわれていると恐怖感は増大するので、手を動かしながら恐怖感を無にして、アイデアが自分に降りてくるタイミングを待つようにしています。
また、一人だけで仕事をしているわけではなく、周囲のスタッフがいてくれるので、助けてもらえているということもあります。

─ 最後に、デザイナーをはじめとするファッション関係の就職を目指す方々に、ひとつだけアドバイスするとしたら、どのようなことを伝えますか?

研壁:人を笑顔にする素晴らしい職と思います。
あなたたちの新しい発想とアイディアで、より多くの人の笑顔を作っていってください。
僕もまだまだ若い君たちには負けませんよ。

─ 以上です。ありがとうございました!!

研壁さんのキャリアを振り返った、貴重なロングインタビューを掲載予定しました。
卒業後すぐにイタリアに渡り、困難を乗り越えて憧れのデザイナーのアトリエで働き始めたキャリアの草創期から、満を持して自身のブランド「support surface」を立ち上げるまでの道のりをお話しいただきました。ぜひご覧いただき、将来の参考にしてください!

» キャリアインタビューはこちら