第26回ザッカデザイン画コンペティション

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特別企画

<support surface>研壁宣男さん キャリアインタビュー(Part4)

~support surfaceについて~

─ <support surface>のブランド名の意味と、デザインの特長を教えてください。

support surface<support surface>公式サイトより研壁:<support>というのは「人体が服をサポートする」「服が人の心をサポートする」という意味があります。<support surface>では、人体と表面の服というものをゼロから考え直す、というコンセプトのもとクリエーションを発表しています。
例えばほとんどの衣服は、「前身頃」「後ろ身頃」「袖」などという既成のパーツによって構築されているわけですが、一度それらをゼロにしてより魅力的な服の表情を作り出す、考え直す、構築し直すというアプローチです。

パッと見て「なんだこれ?」というように驚くようなものではないかもしれませんが、よく見たら、ドレープの入り方が普通とは違い、生きたシワだったり…。シワやドレープの入り方は、和服と洋服では違います。和服は布を切り刻んで体型に合わせていないので、着たときの生地のシワの入り方が自然で布の表情に色気があります。布が艶めかしいというか。一方、洋服に生じるシワというのは、作られたドレープの場合もありますが、一般的には体型に合っていないことから生じるシワです。
<support surface>の服は、和服と洋服の魅力的な部分を融合させているようなイメージです。生地の動きを読み、ボディがどう演出されたがっているかを通訳する作業というか。

─ ご自分のブランド、会社を立ち上げて、クリエーションの面や仕事の内容など、今までと変わったことは何かありますか?

研壁さん研壁:やっぱり段階的に考えなければいけないことは変わってきていると思います。イタリアにいたころは、僕は商品をデザインしたことの対価として報酬を受け取っていたので、商品がどれだけ売れたかということは、自分の責任の範囲外でした。

現在は自分のブランド<support surface>のデザイナーとして働くと同時に、<support surface>の企画・製造・卸を手掛ける企業の経営者でもあるわけです。
商品が売れないことには、自分たちの会社や、協力してくれる生地会社や縫製工場などにも、利益をもたらすことはできません。売れる商品を作らなくてはならない、ということも常に考えるようになりました。

─ クリエーションとビジネスのバランスを考えるうえで、どのようなことにご留意されていますか?

研壁:クリエーションとビジネスの両立は意識しています。ただし、売れなきゃいけないと意識しすぎて、消費者に媚びてもいけないと感じます。私たちの服を選ばれるようなお客様は媚びたものなんて欲しくないのではないでしょうか。消費者が欲しいと想像するもの以上のものが提供できないとプロのデザイナーとして失格とも思っています。

─ ありがとうございました!!

ファッション業界の最前線を走るデザイナーの、キャリアのスタートから現在のクリエーションに至るまで、有意義なお話を伺うことができました。日本を代表するデザイナーが、ここまで克明に自分のキャリアやクリエーションについて語り尽くす機会は、本当に貴重です。夢と情熱だけを持って、とにかく目標にまっすぐに突き進み、夢を実現する姿は、みなさんにも勇気を与えてくれるエピソードなのではないでしょうか。あわせて、研壁さんから応募者の皆様へのメッセージもご覧ください!!

» 研壁さんからコンペ応募者へのメッセージ

研壁宣男(support surface デザイナー)

桑沢デザイン研究所在学中に繊研大賞等受賞。89年、渡伊。ROMEO GIGLIアシスタントデザイナーを経て、10 CORSO COMOにてオリジナルブランドNN STUDIOのチーフデザイナー。97年よりALBERTO BIANIをメインにTRUSSARDI COLLECTION、INCOTEX等のブランドのデザインを担当。99年よりsupport surface活動開始。03年 帰国、桑沢賞受賞。06年より東京コレクション参加。07年 株式会社support surface設立。